え塾展報告、今回は静物編です^^
静物画は、絵画教室のみならず、美大受験のための予備校などで最も頻繁に描かれるジャンルです。一方、人物や風景に比べるとやや地味さがあり、作品化するには今ひとつ不人気なテーマでもあります^^;
静物画を学ぶ利点は、
①風景のように時間や天候による変化にあまり影響されないのでじっくり時間をかけて観察ができる。
②基本的な形態(球体や円柱、立方体)などを理解しつつ、応用・展開のバリエーションが豊富。
③様々な質感表現(ガラスや金属、果物や花など)のトレーニングが行える
と、絵が上達するための基本エッセンスがしっかり詰まっているので、え塾のアトリエでも頻繁に描いていただいています。一方、教室で描いて頂くモチーフは、いつも皆さんのモチベーションが上がるものばかりとは限りません^^;「こんなもの絵になんの?」と冷たい視線を送られることも…。ええ、すみません、勉強ですので描いていただけますか?「基本、詰まってますから!」(笑)
少々愚痴っぽくなりました(笑)。
静物をテーマとした作品、見ていきましょう!
水彩(アクリル) 52×72cm
水彩画コース 土曜在籍生作品
アトリエに組まれたモチーフを描いています。見たままを描くのではなく、モチーフが持つ形態やリズムを生かしつつも、絵肌や色調など自分なりの解釈で絵作りしているのが成功しています。のびのびと絵の具を使い、説明的な描写ではないながらも統一感のある画面に仕上げているところに作者の高い技量を感じます。
水彩(アクリル) F10号
絵画コース 金曜在籍生作品
アトリエに組まれた静物を描いています。背景に貼られたデイビッド・ホックニーの展覧会のポスターの雰囲気をうまく絵作りに利用しています。フラットに塗られた彩度の高い色面に、油彩転写で引かれた線のリズムが効いています。ごちゃごちゃしたものを臆せず、しっかり描き切った強さがありますね。
油彩 F50号
絵画コース 水曜在籍生作品
大型の静物を大きな画面に描いています。モチーフの形態をやや単純化し、色面で表現するという狙いを持って描いています。使用する色数を制約し、派手な絵ではありませんが、丁寧にトーンを作ってい流ところに好感が持てます。
また、静物モチーフは、ご自身で描きたいものを見つけられれば、それを自由にセットし、モチーフを作る段階から絵作りできるのも静物画の魅力です。
水彩・コラージュ F10号
絵画コース 金曜在籍生作品
正確には静物画ではありません。写真などの資料を活用し、卓上に花器と花がある静物画的な状況を描いています。ここまでくると、「描きたいものを描く」、というより、「描きたいイメージ」があって、それを表現するのに都合の良いモチーフを探して描いている、といった方が適切かもしれません。描画材も自分らしく上手に扱えていて、完成度の高い作品です。
油彩 F6号
絵画コース 月・木曜在籍生作品
こちらも、描きたいものがあってそれを見ながら描いていると言うより「こんな雰囲気の絵にしたい」という、<絵のイメージ>から出発している作品です。どんな色調で描きたいか、どんなタッチで描きたいか、絵の要素にしっかりと向き合いながら制作されています。主役は当然、花ですが、背景や花器の色調がとても魅力的ですね。
いかがでしたでしたか?
え塾では、基本的なことを学びたいという方には、静物や石膏デッサンなどを交えた授業を行い、ご希望に応じ、その他の人物や風景などのテーマの制作のサポートと指導を行っています。見学・入学随時できますので、お気軽にお問い合わせください。詳細はえ塾HPをご覧ください。(秋)
え塾展報告バックナンバー
え塾展報告① 人物画編
え塾展報告② 風景画編
え塾展報告④ 抽象画編