2011年8月8日月曜日

絵画制作の基礎知識2<中級編>


先日6日、スポット講座「絵画制作の基礎知識2<中級編>」が行われました。暑い中、たくさんの方にお越しいただきました。皆様、お疲れさまでした〜

今回のこの講座は<中級>という設定で、「見たものをそのまま描くのではなく、もう一歩進んで絵作りを考えながら制作したい」と考えている方に「絵作りのヒント」をご紹介するというものでした。前半は「光と影を意識的に捉える」という内容で、具体的に光の当て方で、どう見え方が変わるかというお話を写真資料や名画を使ってご説明させて頂きました。そして後半は、より自分らしく絵を展開していきたい方のために、風景スケッチの展開や、スクラップブックやピンナップボードを利用した絵の素材集めについてご提案させて頂きました。

スクラップやピンナップについてちょっとおさらいしてみましょう。

普段の授業で、「自由なテーマで描く」というようなことをさせていただくと、大抵皆さん不自由になりますね(笑)。「描きたいものを描きましょう!」と言われると困ってしまう方が多いのです。絵を描きたいと思っているのですが、いざ、好きなものを描いてみましょう!と言われると大概「何が描きたいかな?」と考え込んでしまう。だからといって普段課題でやっているモチーフで満足しているかというと、やはりもっと自分の好きなものを描いてみたいと考えていらっしゃる。また、風景や家族など描きたいテーマはあっても、では「実際どんな雰囲気の絵にしたいですか?」とお聞きすると、なかなか描きたい絵の雰囲気がイメージできない、という方も多いですね。

当然のことと思われるでしょうが絵にとってこの「描きたい絵のイメージ」は無くてはならないものです。イメージが無いのに絵は描けません。この「イメージする」という作業をどれだけ意識的にできるかという部分こそ、絵にとって重要な部分だと思います。そして、このイメージを具体的にする手助けをしてくれる方法のひとつが、スクラップブックやピンナップボードを利用した素材集めなのです。

インターネットの検索で、たまたま引っかかったとあるブログで、ピンナップボードに付いてこんな記述がありました。

「素材は、雑誌の好きなページの切り抜き、ポストカード、なんでも良いのです。…ピンナップは頭の整理にもなるんです。仕事でもよく使います(作ります)。ショップや、ファッション、アクセサリーのメーカーでは、次期シーズンのテーマを決める時に、プレゼンボードを作ります。その前段階がピンナップです。ビジュアルがあるとイメージが言葉でなく目で伝わります。」

バラバラにあるイメージがピンナップという形で一堂に集められ、やがてそれがプレゼンボードというはっきりとした形になっていく。そういうイメージの持ち方は絵作りにも必要なプロセスですね。「イメージが言葉でなく目で伝わります」という部分もポイントです。

「私はまだ目の前のものも上手く描けないから、そういう話はまだ先のこと」と思う方もいらっしゃるでしょう。でも、絵のイメージというのは、写実的なものがある程度描けるようになっていく過程でだんだんと湧いてくるようになるものでもないのです。イメージ作りは、鉛筆を握ったその日から初めて頂いてもいいと思います。「上手くなったら、いつかこんな絵を描いてみたい」、そんな目標があってもいいと思います。

普段から気になったものを少しずつ集めていくと、その中から、案外ご自分の好きな感じや興味のあるものが見えてくるはずです。1枚ではご自分のイメージにならなくても、数十枚あればきっとそこから何か見えてくると思いますよ。


写真やスケッチからの展開。
色調・タッチ、素材をいろいろ変えてみると
ひとつの風景でもいく通りかの絵が出来ますね。



ピンナップボードの良さは、イメージが見渡せることですね。
ご自宅の一角にこういったスペースを設けて、
日常的に眺められるようにしておくとイメージが湧いてきますよ。


さて、今回の「おまけ実習」は「葦(あし)ペン作り」でした。(ちなみに前回はパステル作りでした!)この「葦ペン」構造も作り方も至ってシンプルなのですが、なかなか魅力があります。ミリペンやボールペンには無い、線を引く楽しみがあります!みなさんぜひ、このペンでゴッホに負けない(?)スケッチをしてみて下さいね!



ゴッホのスケッチより。(葦ペン使用)



次回のスポット講座は9月11日のクロッキー教室です!。
皆様のご参加をお待ちしています!(秋)