2014年7月28日月曜日

土曜油絵基礎講座

え塾の母体である、横浜美術学院でこの秋、初心者のための油絵基礎講座が開講します。

対象は高1生・高2生と社会人の方。横浜美術学院は美大受験を専門とした予備校ですが、今回のこの講座は社会人の方もご参加いただけます。9月・10月・11月の3ヶ月連続講座で、1ヶ月ごとでお申込みいただけます。もちろん3ヶ月通しでの受講も大歓迎!

絵画教室とは異なる空間で、本格的に学びたい!という方、ぜひご利用下さい。詳細は横浜美術学院のHP「土曜基礎油絵講座」よりご覧下さい。(秋)



2014年7月23日水曜日

2014前半の授業紹介 その4

2014前半のご授業紹介 、最終回です。今回は金曜絵画コースAの授業のご紹介です。

金曜の絵画コースAも、木曜と同じく授業で決められている課題を制作される方と、自由なテーマで制作される方に分かれて授業を行っています。

まずは、決められた課題の静物よりご紹介です。


↑Aさん作品。
今回は、ガラスずくめでやや難易度高し!のモチーフです。今回Aさんは、まず下地の絵肌と色調を全体的に作る事から始め、そのトーンを壊さないように、微妙なトーン違いで描く事を心掛けていらっしゃいました。ガラスの薄い表情が上手く出ていますね!ちょっと手で隠れてしまっているのですが、手前の台の側面の表現などもきれいに作っていらっしゃいました。



↑K先生作。
同じガラスのモチーフで、K先生も制作中!です。今回のようにモチーフにはっきりとした色が無いのは、画面の中で色調を考えて作るのにはとても良いのです。K先生は、このモチーフで透明水彩の混色について色々試されていました。次回混色についてのレクチャーで、この辺りのお話もされるとの事。楽しみです。

今回の授業では、この他にも沢山の方が静物を描いらっしゃったのですが、あまり良い写真が撮れていないので、またの機会にご紹介させて頂きます!




という訳で、続いては自由なテーマで制作されている方の作品からご紹介。


↑Kさん制作中。
Kさんは旅先で撮影されたスナップをもとに制作中です。Kさんは微妙な中間トーンを作るのがお上手で、そうした色調が柔らかく全体を調和させています。濃淡の作り方も上手になってきましたね!Kさん、いつもしっかりデッサンをしてから水彩の制作に入るせいか、絵の具で失敗するという事が少ないです。着々と上達されていますね!


↑Nさん制作中。
油彩で制作中のNさんは、じっくり派。細かいところの手を抜かず、丁寧に描き上げていきます。写真を拡大して頂くと分かりますが、建物の窓の桟など、一本一本とても丁寧に描かれています。色調にしても細部の描写にしてもじっくり練り上げて作っていくので、時間が経てば立つほど味わいのある作品に仕上がっていきます。仕上がりが楽しみですね!



↑Iさん模写制作中。
巨匠、ベラスケスの模写です。Iさん、模写を始めてもう何年になるでしょうか?レオナルド、ゴヤ、カラヴァッジョ、ベラスケスなどなど、数々の古典絵画の模写を続けられています。始めの頃は、手順が全く読めず四苦八苦されていましたけれど(笑)、最近はプロセスが読めるようになっていらっしゃいますし、画面全体のバランスを見る眼が出来てきています。本当は、この7月に終了させたかったというIさんですが、残念!もう一息ですね!


↑Iさん 7月の授業終了時の状態。
瓶の表現がお上手です。人物の表現はもう一息!



↑最後はISさんの作品より。
アイディアウーマンのISさん。模写をやったり、古典の勉強をしたり…とアカデミックに学ぶ一方で、さまざまに自分らしいテーマを考えて、描画の手法やスタイルまでご自身で決めて制作するISさんのフットワークは、とても素晴らしいのです!
今回の作品はご自分の「好きなギタリスト9名」の写真から絵を制作されています。作品は黒の支持体に白1色のみで描かれていて、描写もとても上手いのですが、その白1色、というのがなかなかきれいなんです。これらを9枚組で展示するそうで、展示にもちょっとアイディアがあるそうなので、出来上がりが今から楽しみです。おそらく、この作品は11月末の「え塾展」に出品されるのではないかと思います。乞うご期待!です。


さて、え塾の授業は、7月20日から8月21日までの間、お休みを頂いております。その間、授業の見学などは出来ませんが、資料請求などは随時承っております。え塾の授業に興味のある方は、ぜひお気軽にお問合せ下さい。また、9月より、人物講座やデッサンの超基本講座など、1ヶ月単位で学べる短期での授業も始まりますので、ぜひこちらもご検討下さい。(秋)



2014年7月18日金曜日

2014前半の授業紹介 その3

今回は木曜の絵画コースAの授業をご紹介します。絵画コースでは、デッサン・油彩・水彩・アクリル・パステルなど、ご本人が使いたい素材で絵を描いて頂いております。また、課題もこちらがご用意させて頂いている静物などの決まった課題と、ご自身に自由にテーマを決めて頂いて描くものと選択して描いて頂いています。

という訳で、まずはえ塾でご用意させて頂いている課題制作の様子からご紹介。


↑Mさん制作中。
まだ油彩は4枚目ぐらいでしょうか。やや古典画的なアプローチで、じっくりと時間をかけ丁寧に制作されています。画像を拡大して頂ければ分かりますが、リキュールのボトルの文字などとても丁寧に描き上げています。リキュールボトルの透明感や手前のポットなども質感も出てきていい感じです。もう少し時間がかかりそうですが、出来上がったら見応えのある作品になりそうですね!


↑TさんUさん制作中。
手前の作品のTさんは油彩はこれで2作目でしょうか?パステルや水彩を経て、油彩に行き着きましたが、油彩が一番合っているかも知れません。お二人とも、油絵の具の扱いにはなかなか慣れない、特に色をどう表現すれば良いのかさっぱりわからない!と仰っていらっしゃったので、画集をお見せして少しお話をさせて頂きました。


上:ゴーギャンの画集より。下2冊:ゴッホの画集より。
確かに絵の中の色調を考えるのはなかなか難しいものです。もちろんモチーフの色を再現する気持ちで、よく観察しながら描いて頂いても良いのですが、いつも固有色で描くだけではつまらないし、そうしなければいけないという決まりもまたありません。ちなみに、画集の中のゴーギャンの砂浜ピンクです。ゴッホの空は黄緑色?お二人とも、画集を見れば「キレイ〜」とおっしゃるので、ではこの絵の中の色を使って、今回の静物を描いてみてはいかがでしょう?とご提案させて頂きました。Uさんはゴーギャンの作品がとても気に入ったようで、静物の中のテーブルをピンクに変えて制作中です。お二人とも出来上がりがとても楽しみ。

次にご紹介するのは、個々に自由なテーマで設定して頂いている方達の作品から。


↑Hさん制作中。
Hさん、ハワイのフラのダンサーを描き中。一回制作を切り上げたものの、気にかかるところがあったようで再度筆を取りました。描き出してみると、あれもこれも!と大修繕になってしまいました。という訳で、体の部分は今回はお見せ出来ません(笑)。でも、このこだわりが、きっと良い結果を結んでくれると思います!


↑Oさん作品。
Oさんは、描きたいテーマはあるのですが、どんな風に描きたいかという部分でいつもとても迷われます。「どんな風に描きたいですか?」と聞かれるのがとても困るそう^^;
今回とても苦労されたのが、テーブルと背景。こういった情報量は少ないけれど、画面の印象に大きく関わってくる部分をどう表現するかは大切な問題です。よりイメージを持って描く必要がありますが、引き続き今後の課題でしょうか。Oさん、ともに頑張りましょう!


↑Fさん作品。
旅先のスナップを作品にされています。グレートーンの町並みに庇の赤が効いています。Fさんはとても器用な方で、それこそ油彩はまだ数枚しか描いていらっしゃらないのですが、パース(透視図法)の問題やカフェのごちゃごちゃしている部分の表現などサラリと(ご本人にはご苦労はあるかと思いますが!)こなしているように見えます。ある程度引き算された色彩の使い方もお上手です。



↑Eさん制作中
誰もが見惚れる!あの名画を模写中です。この模写の前にEさんはお嬢さんの絵を描いていらっしゃいましたが、途中から絵の具の使い方、顔の描き方が分からない!と仰って、急遽模写をする事に…。幾つか候補を選んだ後、この作品に決まりました。「絵の事は絵からぶ」シンプルですけど、これが実はとても勉強になるのです。プロセス、色、形の作り方など、図版を観察しながらさまざまに想像力を巡らしながらの作業は、一見抽象的に見える絵を描く作業をとても具体的にしてくれます。

迷った時には模写を取り入れる…お薦めです。

この他にも、沢山の方がえ塾をご利用下さっていて、さまざまな学びがあるのですが全てお伝え出来ないのが残念です。この学びの成果は11月末開催のえ塾展でぜひご観覧いただければと思います!(秋)




2014年7月17日木曜日

2014前半の授業紹介 その2

今回は河野先生が担当している、火曜・水曜のデッサンコースと絵画コースBの授業をご紹介します。

まずはデッサンコースの授業から。


↑デッサン制作風景。
今回のモチーフは石膏像でした。絵の基本はデッサン、中でも石膏デッサンは基本中の基本!というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。え塾の授業では、石膏デッサンは美大受験生と同じやり方で指導していますので、まさしく絵の基礎トレーニングといったイメージにぴったりです!授業中は皆さんとても真剣に、まるで美大受験生のように集中して描かれています。


デッサンの授業では、木炭か鉛筆か描画材が自由に選べるます。といっても、木炭を使用しているのは、ある程度経験を積んだ方が多いようですね。上記はSさんの制作途中。木炭がたっぷりとのっていて良い感じです。
デッサンを基本からしっかり学びたいという方、河野先生のクラス、お薦めです!


次は絵画コースBのご紹介です。え塾では、月・木・金に授業を行っている方を絵画コースA、火・水に授業を行っている方を絵画コースBとしています。これはレベル設定ではなく、指導を担当している講師の違いで、どちらも共通して、油彩・水彩・パステル・アクリルなど様々な描画材で制作がすることが出来ます。

今回の絵画コースBの授業は「ニュース」というテーマで、それぞれが自由に発想して絵作りをされていました。


↑YGさん制作風景
YGさんは絵を描くのも見るのもベテランで、絵に対するイメージが豊かですので、作品の表現がこなれています。たいていは風景写真や静物をモチーフに描かれますが、そのまま描くという事はせず、画面の中で構成して画面の中のバランスを注意深く観察しながら描き進めていきます。今回のこの絵はクロアチアにご旅行に行かれたときの写真を構成して描かれています。旅行中の私的な「ニュース」をテーマにした作品、といったところでしょうか。


↑Hさん制作中。
お孫さんが遊んでいる最中のスナップ写真をもとに描いた1枚です。画面上部の3人の少女の表現が面白いですね。遊びの中で、幼い子供の想像と現実の境界が曖昧になっているといったイメージが伝わってきます。アクリル絵の具でずっと制作されているHさんですが、絵の具に慣れ、描写も上達しています。


↑YSさん制作中。
絵画クラスBは、アクリル絵の具で制作をされている方が多いです。アクリルは油絵の具に比べ乾きが早いですし、透明水彩に比べると塗り重ねが容易で修正もしやすく、比較的扱いやすい絵の具で、また、しっかり描き込むには適した画材です。YSさんもしっかりした描写が説得力のあるところまで来ています。惜しむらくは、構図にもう一工夫欲しいといったところでしょうか。


↑Kさん完成作
絶滅危惧種であるアフリカ象をモチーフに、いくつかの写真資料を参照しながら描かれています。今回Kさんは、日本画の竹内栖鳳の様に動物を描きたいというイメージをお持ちで、構成や色調、写実的な描写と線描のバランスなど、上手く栖鳳らしさを取り入れた画風になりました。絵を描く時に大切な「何を(モチーフ)」を「どのように」描くか、このふたつが明快に絞り込めた事が今回の作品の完成度に繋がったと言えるでしょう。今後シリーズで描いても面白い主題ですね。

今回の課題では「ニュース」がテーマになっていると前述しましたが、「ニュース」の解釈を社会的な、いわゆる報道的なものにテーマを求めた方と、私的な話題にテーマを求めた方とさまざまに解釈して頂き、今回ご紹介した作品以外にもさまざまなテーマの絵が見受けけられました。今回の作品の中から11月末開催のえ塾展に出品できる作品が出てくるかも知れません。(秋)

2014年7月15日火曜日

2014前半の授業紹介 その1

早いもので、もう7月も中旬となってしまいました。え塾の授業は、7月20日〜8月21日の間夏休みとさせて頂きます。

という訳で、今回は今年3月以降ご紹介出来ていなかった授業の様子を出来る限り、(連載で?)お知らせさせて頂きたいと思います!

まずは月曜午前の抽象画コースから。このコースは月曜の午前で、しかも抽象画!ということでやや少なめな人数構成です。しかし、意欲・レベルともにとても優秀なクラスです!



↑TUさん作品。
マティスを思わせる切り紙のコラージュと細線が美しい作品です。描きながら画面を良く見て確かめながら次の展開を決めていくようなプロセスで描かれています。また、幾つかの作品を同時進行で制作されています。

この、「幾つかの作品を同時進行」というのがポイントです。ひとつの作品に掛かりっきりになっていると、乾くのが待てなかったり、描き過ぎたり、そして画面を客観的に捉えられなくなって作品をダメにしてしまうという事が往々にしてあるのですが、複数の作品を同時進行する事でそういったデメリットを回避することが出来ます。また、制作中に迷った事や、思いついた事を実験し、比較して検証する事も出来るので、自分の作品の方向性を考えるのにも、複数の作品を同時進行させるのはとてもお薦めです!




↑Nさん制作中。
Nさんは油彩を中心に制作されています。100号など大型の画面でも制作されるNさんですが、え塾のアトリエでは、いつも10号ぐらいのキャンバスで早描きでどんどん描いていきます。画面は小さいですが、絵の具をダイナミックにのせていきます。この、早描きでダイナミックというのがNさんの作品のいいところで、絵の具の質がとても活き活きとしています。これは5枚で一組という作品になる予定で、TUさんと同じく2枚ぐらいを常に同時進行しています。



↑TAさん制作中。
TAさんは素材や絵に対する考え方がとても柔軟です。自分が面白いと思った事はどんどん制作に取り入れて作品を動かしていきます。今回も、水彩・アクリル・クレヨン・パステルなど幾つかの素材を併用して描いています。今回の作品は花瓶に生けられた花というイメージからスタートした絵で、こちらも連作で描かれています。ご自分で絵が予測のつかない展開になっていく事を楽しみ、コントロール不能の状態を意識的に作り出しているTAさん。濃密な絵肌が綺麗ですね。




↑Kさん作品。実物はもっときれいな絵でしたが、すみません、写真があまり良くありません!この作品、実はビー玉がヒントになっています。


あぁ、なるほど!と言われれば思いますが、なかなかビー玉を見て、こう描こうと思いませんよね。Kさんはご自分の制作の中で一貫して「線」をテーマにしているようなところがあり、地図や、紙のシワなど様々な具体物を線を引くきっかけにしていましたが、今回は、描くという身体性に向き合って線の表現を試み始めました。




↑Oさん制作中。
変わって月曜の午後の生徒さん作品から。
風景をモチーフに抽象化して描いている構成的な作品です。Oさんはキャンバスにアクリル絵の具で描くことが多いのですが、アクリルは油絵の具に比べ、絵の具のボディーが弱いので(ちょっと分かりづらいでしょうか^^;)絵の具が薄っぺらく見えがちです。そのボディーが弱い感じが、Oさんの絵の場合良い感じでしっくりくる事が多く、今回もアクリルの薄さと透明感が心地よい1枚に仕上がっています。色彩のバランスも良いですね。



↑Kさん制作中。
Kさんの作品はいつも面白いのです。いつもセンスがいいな〜と感心します。
ここ1、2年はずっと静物をテーマに描かれています。ただし、静物と言っても目の前に静物が組まれていてそれを見て描くという訳ではなく、ご自宅でスケッチしたものを、ちょっと参考にするぐらい、の利用の仕方です。
Kさんは前作でひとつのシリーズが終了し、また、新たな実験を開始し、新たな絵の形と色の世界を模索し始めています。


今回は抽象コースの作品を見て頂きましたが、それぞれに絵の形の作り方が違い、素材に対しての感受性も異なり、それらがはっきりと作品に現れています。常に新たなものに向かって模索する姿勢は共通しています。11月末に控える「え塾展」が非常に楽しみな展開になってきていますね(秋)。