2014年7月15日火曜日

2014前半の授業紹介 その1

早いもので、もう7月も中旬となってしまいました。え塾の授業は、7月20日〜8月21日の間夏休みとさせて頂きます。

という訳で、今回は今年3月以降ご紹介出来ていなかった授業の様子を出来る限り、(連載で?)お知らせさせて頂きたいと思います!

まずは月曜午前の抽象画コースから。このコースは月曜の午前で、しかも抽象画!ということでやや少なめな人数構成です。しかし、意欲・レベルともにとても優秀なクラスです!



↑TUさん作品。
マティスを思わせる切り紙のコラージュと細線が美しい作品です。描きながら画面を良く見て確かめながら次の展開を決めていくようなプロセスで描かれています。また、幾つかの作品を同時進行で制作されています。

この、「幾つかの作品を同時進行」というのがポイントです。ひとつの作品に掛かりっきりになっていると、乾くのが待てなかったり、描き過ぎたり、そして画面を客観的に捉えられなくなって作品をダメにしてしまうという事が往々にしてあるのですが、複数の作品を同時進行する事でそういったデメリットを回避することが出来ます。また、制作中に迷った事や、思いついた事を実験し、比較して検証する事も出来るので、自分の作品の方向性を考えるのにも、複数の作品を同時進行させるのはとてもお薦めです!




↑Nさん制作中。
Nさんは油彩を中心に制作されています。100号など大型の画面でも制作されるNさんですが、え塾のアトリエでは、いつも10号ぐらいのキャンバスで早描きでどんどん描いていきます。画面は小さいですが、絵の具をダイナミックにのせていきます。この、早描きでダイナミックというのがNさんの作品のいいところで、絵の具の質がとても活き活きとしています。これは5枚で一組という作品になる予定で、TUさんと同じく2枚ぐらいを常に同時進行しています。



↑TAさん制作中。
TAさんは素材や絵に対する考え方がとても柔軟です。自分が面白いと思った事はどんどん制作に取り入れて作品を動かしていきます。今回も、水彩・アクリル・クレヨン・パステルなど幾つかの素材を併用して描いています。今回の作品は花瓶に生けられた花というイメージからスタートした絵で、こちらも連作で描かれています。ご自分で絵が予測のつかない展開になっていく事を楽しみ、コントロール不能の状態を意識的に作り出しているTAさん。濃密な絵肌が綺麗ですね。




↑Kさん作品。実物はもっときれいな絵でしたが、すみません、写真があまり良くありません!この作品、実はビー玉がヒントになっています。


あぁ、なるほど!と言われれば思いますが、なかなかビー玉を見て、こう描こうと思いませんよね。Kさんはご自分の制作の中で一貫して「線」をテーマにしているようなところがあり、地図や、紙のシワなど様々な具体物を線を引くきっかけにしていましたが、今回は、描くという身体性に向き合って線の表現を試み始めました。




↑Oさん制作中。
変わって月曜の午後の生徒さん作品から。
風景をモチーフに抽象化して描いている構成的な作品です。Oさんはキャンバスにアクリル絵の具で描くことが多いのですが、アクリルは油絵の具に比べ、絵の具のボディーが弱いので(ちょっと分かりづらいでしょうか^^;)絵の具が薄っぺらく見えがちです。そのボディーが弱い感じが、Oさんの絵の場合良い感じでしっくりくる事が多く、今回もアクリルの薄さと透明感が心地よい1枚に仕上がっています。色彩のバランスも良いですね。



↑Kさん制作中。
Kさんの作品はいつも面白いのです。いつもセンスがいいな〜と感心します。
ここ1、2年はずっと静物をテーマに描かれています。ただし、静物と言っても目の前に静物が組まれていてそれを見て描くという訳ではなく、ご自宅でスケッチしたものを、ちょっと参考にするぐらい、の利用の仕方です。
Kさんは前作でひとつのシリーズが終了し、また、新たな実験を開始し、新たな絵の形と色の世界を模索し始めています。


今回は抽象コースの作品を見て頂きましたが、それぞれに絵の形の作り方が違い、素材に対しての感受性も異なり、それらがはっきりと作品に現れています。常に新たなものに向かって模索する姿勢は共通しています。11月末に控える「え塾展」が非常に楽しみな展開になってきていますね(秋)。