火曜と水曜のデッサンコースでは「人物」をテーマとした構成課題を行いました。
今回の課題では「人物」を上手く描けるようになりましょうということが狙いではありません!(ですので、人物をテーマにしていますが、教室にモデルさんはいません)
「人物」という要素の何に興味を持ち絵にしたいと考えるか、あるいはその要素をどうやったら魅力的に表現出来るのか。
そういったことを考えて頂きながら、デッサンして頂きました。
慣れている方には個々に、描きたいものを用意して頂きましたので、鏡を利用して自画像を描かれる方、写真を利用してお孫さんの顔を描かれる方、自分の手を見ながらデッサンする方、といくつかのアプローチが見られました。
繰り返しますが、今回の目的は人物を描くトレーニングではなく、『「人物」という要素の何に興味を持ち、絵にしたいと考えるか、あるいはその要素をどうやったら魅力的に表現出来るのか』ということに主眼が置かれています。例えば、自画像を描こうと鏡を見たとします。その鏡に映ったそのままを描いたら、果たして魅力的な絵になるでしょうか。あるいは、運転免許の証明写真は絵になるでしょうか。今回考えて頂きたいポイントはこの部分です。
画面中央にポンと顔を描く。日の丸弁当的な構図なんて言ったりもしますが、安定感はありますね。でもそうした構図の絵が10枚並んだら面白くないですね。日の丸的な構図が10枚並ぶ中に、顔の輪郭がわからないくらいにクローズアップされているような作品が1枚あったらどうでしょうか。もし、その作品が毛穴まで見えるぐらい描き込まれていたら?(好きか嫌いかは置いておきましょう!)
誰もやらない、変わったことをしましょう、ということではありません。あなたが選んだモチーフを、魅力的に見せるための工夫をしてみましょうとということです。大きさは等身大が良いのか、拡大した方が良いのか、光の設定はどうしたら良いのか、二つのものを配置する時のきれいなバランスは?たまたま目に入ったものを、引き写すだけでは表現にはなりません。見えているものに、意識的に配慮するだけで、絵は魅力的になるものです。
さて、数人の方には「ダ・ヴィンチ」の手のデッサンを模写して頂きました。二つの手が描かれているだけの構図ですが、とても惹き付けられる魅力的な作品です。美人を描いたのでもなく、美しい風景を描いた訳でもない、この作品の美しさはどこにあるのか、そんな事も考えながら描いてみてはいががでしょうか。