2018年7月23日月曜日

絵画コース授業紹介(金曜午後クラス)

え塾の授業は7月24日〜8月31日の間、お休みとさせていただきます。

と、いうことで金曜のクラスは1学期?の最終日(学生みたいですね^^)でしたので、作品が仕上がった方や途中経過が良かった方の作品を撮影させていただきました。

油彩 F10

Fさん作品
以前描いた静物油彩に再度手を入れています。実はこの絵の下に別な絵があって(俗に言う古キャンですね^^)その効果もあって、絵肌が非常にこってりしていて、油彩らしい重厚な絵になってきました。幾重にもやり取りされた絵の具の表情が複雑で厚みのある表情を作り出しています。どこをとっても綺麗ですね。

水彩 F6号

Hさん作品
え塾HPの「授業の最近作より」にも掲載させていただいた作品の次に描かれた作品です。前回の作品は水彩とパステルを併用して描いていましたが、今回は水彩オンリーです。中景から遠景にかけて、緑が微妙に変化して空間が移ろっていく所など、上手いですね。空間がぎゅっと圧縮されているところと、手前の水面のたっぷりとした表現とのコントラストが気持ちいいです。非の打ち所がありません^^


ミクストメディア B3サイズ

Kさん作品
まだ途中ですが、あまりにも綺麗なので撮らせていただきました。水彩とコラージュで描いた作品ですが、画面中央のきっぱりした白はコラージュされた紙を剥がしたところ。絵は絵の具をのせていく「プラスの仕事」だけでなく、時にはこうした「マイナスの仕事」が功を奏することがあります。抽象画として描くならここでやめても良さそうですが(ここでやめてもいいんじゃないかな〜っと私なんかは思ってしまいますが^^)、ある程度具象的なイメージをKさんは描きたいので、ここからどう持っていくか。仕上がりが楽しみです。


絵画コースでは、皆さん思い思いのテーマで自由に絵を楽しんで制作されています。10月には恒例の展覧会「え塾展」も開催です!今年もさらにグレードアップした作品が並びそう^^楽しみです。

ジャン・ジャンセンの模写より

パステルを使ってのエスキース中

ご自身の郷里を水彩で描いています

え塾の授業は明日より8月いっぱい夏休みとさせていただきます。ご見学希望の方は9月1日(土)以降の授業をご利用ください。資料請求は随時受付中です。ご希望の方はえ塾HPよりご請求ください。


2018年7月9日月曜日

抽象画コース午後編

先週に引き続き、抽象画コースの午後のクラスの様子をお伝えします。

まずは作品からご紹介していきましょう。


KSさんの制作風景。
ご自身が取材した風景をもとに、ご自身の感覚で対象物をデフォルメして描いていきます。明快な色調と、ユーモアを感じる形態。不思議な魅力のある作品です。木の表現など上手いですね〜。なかなかこうは描けません^^


KSさんの今回の作品は、連作になっています。デフォルメの過程で、どのようなリズムの形態にしていくのか、何を描いて何を描かないかなど、よくコントロールされています。




Oさん制作風景。
キャンバスに薄塗りのアクリル絵の具で描かれているOさん。いつもデリケートな色調が美しいです。今回は、風景のような、でも風景画に見えないような、その中間に仕上げたいと(いう感じのこと)仰っていました。こちらも3枚連作で描いています。Kさんと違い、3枚で出発のテーマは共通しているところはあるようですが、3枚それぞれでいろいろ模索されているので、最終的にどう落とし込んでいくのか興味深いです。




KMさん作品
記憶の中にある植物や静物の形態をモチーフに描くKMさん。今回は洋梨やコーヒーの木をモチーフに描いています。描いているものは具象的なテーマで、形態も葉や実など何を描いているのかはっきりと分かるのですが、絵の作りはオールオーバーで、画面全体が均質化されていて、そこがとても面白い作品です。抽象画的な画面の作りなのですが、具象的なイメージも持ち合わせていて、そのあたりのさじ加減がとても上手です。


KMさんの作品はもう何年もこの組み合わせの絵の具で描かれています。ウルトラマリン・イエローオーカー・バーミリオン(?)。つまり青・黄・赤です。3原色と呼ばれる組み合わせで、この3色があればどんな色でも作ることができる、と言われる3色です。これにホワイトを混ぜてトーンの調整を行っているのですが、出来上がった作品を見るともっといろんな絵の具を使っているのでは?と見えるのではないかと思います。混色のお話については、え塾HPのコラム「絵の話 画材の話」で改めてお話しさせていただきますが、色作りがとても成功している例だと思います。



Yさん制作風景。
Yさんは度々「スポーツをする人」をモチーフに絵を描いていますが、今回のテーマは「ヨガ」!0号のキャンバスにヨガのポーズを一つずつ描いていくというコンセプトです。0号が数枚固まって一つの作品になるということですが、どんな作品に仕上がるのか興味深いです!



こちらは、抽象画コースと同時に授業を行っている水彩画コースの生徒さん、Hさんの作品です。水彩画コースですが、抽象画のような作品ですね^^オーロラの雰囲気を水をたっぷり使った水彩絵の具ので表現しています。水の力を利用して絵の具を滲ませたり、画面上で色を混ぜ合わせたり、濁らないよう筆で触りすぎないようにコントロールすることがポイントですが、Hさん画面をよく見て制作できていました。


同じ先生が同じように授業を行っても、在籍している生徒さんによってクラスの雰囲気も随分異なります。抽象画コースも午前と午後ではだいぶ雰囲気が異なりますね。
午前クラスの記事はこちら


抽象画コースではどのように授業をしているのか、どのような指導がなされているのか?
についてもお話しするつもりでしたが、長くなりましたので、それはまた次回に^^
(秋山)

2018年7月3日火曜日

抽象画コース授業紹介(午前編)

久しぶりの授業紹介です。今回は月曜に行っている抽象画コースをピックアップしてご紹介させていただきます。

抽象画コースは毎週月曜の午前と午後に授業を行っています。このコースの授業では、生徒さん全員が決まったものを描くというスタイルは取っていません。基本的に、ご本人が描きたいものを描く、というスタイルです。ですので、表現スタイルも実に様々です。

少し作品を見ていきましょう。

まずはFさんの作品3点(いずれも部分)。




上記2点は<油彩転写>という、クレーもよく行っていた手法で描いています。3点目のみオイルパステルを使用しています。いずれも、線描は油性の素材を使用し、ベースの色彩は水性のものを使用しています。はじく、染み込む、かすれる事など、それぞれの素材が見せる表情をうまく利用しながら絵作りしています。そうした偶然性の面白さだけでなく、ご自身で意識的に引いた線のリズム、形態が小気味良いバランスを生んでいます。色彩も綺麗ですね。まだ制作途中の様ですので、どこに行き着くのか楽しみです。





Tさん作品より。
いつもは色彩豊かで奔放な作品作りをされているTさんですが、今回は敢えてモノクロームの作品に挑戦。トレーシングペーパーを使い、半透明である事を利用した作品作りを模索されています。色彩を抑制した分、タッチや微妙なトーンの変化などに目がいきます。今後何を制作の中心に据えて制作していくのか興味深いです。
え!あの作品がこんな風に!…と成長するのをお待ちしています^^





Sさん作品より。いずれも制作中。
全体を眺めてしまうと漠然とした印象なのですが、近くで見るとびっしりと引かれた極細の線や、わずかに透ける絵の具の表情や微妙な色彩のトーンが作者の独特な感性を感じさせます。種明かしをすると(しても良いのかな^^;)実は「バナナジュースを飲み干した後のグラスの表面」をモチーフに描いているとのこと!グラスにだらだらっと付着したバナナジュース、その表情が面白くて制作の動機になったそうです。日常の何気ないシーンからモチーフを探せるところが素晴らしい。




Yさん作品。
Yさんの作品もとても面白いのですが…この日はあまり写真が撮れませんでした。残念!Yさんの作品は、色彩の移ろい、薄さ、軽さ、ちょっとした凹凸などが見せるわずかな変調によって絵が構成されています。素材もいわゆる画材だけでなくリボン・シール、スタンプ、あるいは自作の何か(?)など<本当に自分の好きなテイストのもの>を吟味して持ち込んで制作されるので、こちらも見ていて何がどうなるのか非常にワクワクさせられる生徒さんです。




Hさん制作風景
最近入られたばかりのHさん。入られたばかりですが、一目でベテランだとわかります^^クロッキーが上手いです!クロッキーはどこか別の教室でムービング(人物が動いているところを描く)の授業で描いたものという事で、このクラスではそれを元に油彩で制作をされていました。線だけでも十分見ごたえあります。



ちょっと普通の絵画教室ではないですね^^
普通ではないけれど、かなり面白い雰囲気になっています。抽象画、ちょっと興味あるという方、ぜひご見学ください。お待ちしています。

次回は、抽象画コース授業紹介(午後編)と、「いったいこの教室どんな指導を行っているの?」という事に少し触れたいと思います^^
(秋山)