2010年5月14日金曜日

「短期講座 人物を描く」2日目

「短期講座 人物を描く」2日目<前編>

先週はクロッキーでしたね。なかなか形が捉えられず、皆さん苦労していました。
2日目の今日は、実際に制作する画面に近い大きさでのエスキースです。

まずは、エスキースという言葉の解説をしていきましょう。

「エスキースというのはフランス語で、スケッチや下絵のこと。絵を描く前に、あらかじめ自分の描こうとしている絵のイメージを、本画とは異なる素材も用いながら描きだしたもの。本画よりもやや小さな画面で行うことが多く、漠然としたアイデアから一歩進めた作業と考えてよい。(横浜美術学院サイト:美術用語辞典より)」

ざっくりと言ってしまえば、下描きです。漠然とキャンバスに向かって描き出すと、構図が行き当たりばったりになってしまいがちです。人体をどのような大きさに入れたいのか、全身入れずに描くならどこで切れば良いのかなどの確認をしていきます。もちろん、先日の授業でのポイント「全体のバランスを見ながら描く事」も大切ですね。さらに進んで、背景の扱いや、画面の色調、人物の中でポイントとして見ていきたい事等も意識出来ると良いですね。

1ポーズ目終了した後、講師一人から全体に「まずは席から下がって、この段階でのプロポーションを確認してみましょう。」と声がかかりました。「構図や大きなバランスは初めにしっかり見ておかないと、終盤には修正出来ませんよ〜。」とも。先週同様、ほとんどの方がこの段階で頭部が小さくなっています。「全体のバランスを見ながら描く事」を再確認して頂きます。

その後、2ポーズ、3ポーズとポーズを重ねていきながら、個々にアドバイスや加筆指導が入りました。

今回は人物を描くのは初めて、という方がほとんどですので、エスキースで絵のイメージを具体的にするという事より、人物のプロポーションを見直す事に終始してしまった感じになりましたが、徐々に形を見続け、粘り強く修正し、描き続けていくうちにだんだんいい形になっていきました。
下はTさんのエスキースです。



Tさんのエスキースの講評時より。
Tさん:顔の正中線、どうでしょう。顔は右を向いて、身体は正面で、足は左にひねっていて・・・その動きが難しいです。
講師A:そういう人体のねじれがきちんと表現出来ると、このポーズのきれいさが出ますね。
講師K:Tさんはそういうところを絵の中で意識しようとするところが、ちゃんと絵のイメージがあるな、という感じでいいですね。

「短期講座 人物を描く」2日目。<後編>



先週、私(講師K)が皆さんの参考のために描いたクロッキーを見てください。色を使ってクロッキーをしています。そうすることで少しでもこれから描く絵の色調や、雰囲気を自分で見つけるためのものでした。今日は、皆さんにそこからもう一歩進んで、色つきの紙に描くことをやって頂きました。(私も描いてみました。下図)



なぜ色付きの紙に描いて頂いたかというと、今回の本番の絵を、中間色の下地を施し、その上に描き始めるということを試して頂きたかったからです。中間色を下地に施しておくと、その色よりも明るい色と、暗い色の両方を使って描くことが出来ます。私はこのエスキースを、茶色っぽい黄色のボール紙に油絵具で描きました。本番の絵の描き出しの参考になるかも知れません。ロートレックも同じようなことをやっています。(当然、ロートレックははるかにうまいのですが…。)実は今日、ロートレックの画集を見て頂く予定でしたが時間がなくなってしまいました。3日目の来週にお見せしようと思っています。様々な絵を見て、下地にはどんな色が置かれていたのかということを想像してみてください。それが解りにくい絵もありますが、解りやすい絵もあります。さて、来週はいよいよ本番のキャンバスに入ります。