2010年5月24日月曜日
「短期講座 人物を描く」3日目
クロッキー・エスキースを経て、いよいよ今週より本番の制作に入ります。
今回は比較的油彩の経験が少ない人も多いため、事前にキャンバスに中間色の「地塗り」を施してから制作に入るという事をご提案させて頂きました。この「地塗り」というのは油彩の表現では比較的オーソドックスな手法で、その後に置く絵具の色調に含みを持たせる効果や、画面全体の色調をつないでいく効果があります。絵具の扱いに慣れない頃は、絵具箱から選んだ色をそのまま置いてしまいがちで、色調が単調になりがちですので、こうした地塗りが後々力を発揮してくる事でしょう。
今回はテールベルトのような深いグリーンやイエローオーカーのような黄色、ローアンバーのような茶系を下地にしています。本当はどのような色を下地にしても良いのですが、今回のような色の選択はこの後人物を表現していくには無難な色の選択でしょう。特にテールベルトのような色調はこの後で肌色を作っていく時に透明感のある肌を作りやすくします。
さて、いよいよ人物を描きます。2週目にエスキースをしていますので、大体の構図は決まっています。その構図に倣って描き出していくのですが、ここで講師Kより「輪郭線を引かずに、中の形に絵具を置いていきましょう」と声がかかります。殆どの方が鉛筆などで輪郭を引いて形を捉えようとするのですが、今回はそれをせずに形に直接絵具を置きましょう、という事なのですが、そう言われると皆さん実はとても不安になり、なかなか手が入っていきません(笑)。この辺りの感覚は難しいので、講師K、講師Aが共に加筆指導していきまます。授業中「難しいけど、面白いわ」という声が聞かれました。そうなんです、絵を描く事は難しい、でも面白い、そんな感覚を味わって頂けたら本望です!簡単に仕上げず、あれこれ悩んだ分だけ良くなりますよ!
Tさんは、対象の固有色にとらわれず色を置いていけます。色彩や絵具の交わりを楽しんでいるようにも見え、絵具が生き生きとしていますね。皆さん、対象を写す事だけにとらわれず、もっと絵具を置く事を楽しみましょう!
最後にロートレックやモディリアニ、ルノアールなど皆さんおなじみの作家の人物表現をもとに、表現のポイント等をお話ししました。
今後どんな作品が出てくるのか楽しみですね!