2010年12月14日火曜日

絵画コース授業

今日は最近の絵画コースの授業作品をご紹介しましょう。
絵画コースでは、それぞれの生徒さんの経験や進度に合わせてアドバイスをしていますが、共通のテーマとして「これから描く絵のイメージを持つこと」であったり、「そのイメージを探し、作るために、エスキースをしっかりと行なうこと」などを、強調してきました。なかなか難しいことではあると思いますが、最近の教室内の何人かの生徒さんの作品には、そのことがそれぞれのやり方で出来つつあるのではないかと感じています。



まずはIさんの作品です。Iさんは最近の何点かは、常に絵具を画面に付けていく触感を大切に描かれていました。この課題は、2つの台上にバラバラに配置されたモチーフを一つの画面内に自由に構成するという、大変難易度の高い課題でしたが、Iさんはストーリーを作り、雰囲気のある光のイメージで、画面の世界観を作っていくことに成功しています。




次にHさんの作品です。
Hさんは、長い間、透明水彩だけで描いていましたが、ある作家の作品に興味を持ち、その作家の表現を研究することの中で、モチーフを写すことではなく積極的な絵作りを始めました。また、自分のこだわった絵肌を表したいというこだわりも生まれ、さまざまな素材を使いだしました。これはガッシュ(不透明水彩)とパステルの併用です。線を引いていくことと消していくことのなかで、綺麗な絵のバランスを探すことができました。色を絞って表現していることも綺麗です。



最後にOさんの作品です。Oさんは常に「私は目の前に見える物を、見ながらしか描けない」と言いながらも、「こんな風に描きたい」「こんな色にしたい」などと、かなりのこだわりの持ち主です。この作品は、ロシアのイコンを切っ掛けにして、それを自分なりにアレンジして描いています。頭から肩にかけての形の美しさや、手の表情の優しさ、コスチュームの表現等に独特のこだわりが感じられます。



少しずつ自分の表現を見つけつつある3人の方の作品を見ていただきましたが、アトリエにいると、他にも確実に絵に対する意識が変わってきていることが解ります。それは絵を一枚描くためにそれぞれの方が集めてきた資料が増えてきたことなどにも感じられ、絵の勉強が確実に一段階深まってきている証拠だと思います。(北)