2020年12月30日水曜日

日本画超初級講座のまとめ


今年も残すところあとわずか1日となりました。今年は緊急事態宣言で授業をお休みすることもありましたが、明けてからは、そのまま継続して授業に通い続けてくださる生徒さんがとても多く、本当にありがたいことだと思いました。この場を借りて、皆様にお礼申し上げます。まだまだ出口は見えませんが、来年はきっと笑顔で語り合える、そんな状況になることを切に願っております。

さて、今年最後の記事に、2020年10月・11月に行なった「日本画超初級講座」の作品をご紹介したいと思います。

その前に少しだけ授業の様子を…。

雲肌麻紙という紙をパネルに貼る作業



今回の講座は、3日間という短い期間ながら、日本画の制作を一通り体験していただけるような授業内容でした。支持体となる紙も本格的な日本画で使用する「雲肌麻紙(くもはだまし)」という和紙を使い、しっかりパネル貼りする作業も体験していただきました。


岩絵具を使用しての下塗り作業。絵具を変えながら何層も重ね、複雑な色味を作っていく。

体験的な講座ですと「顔彩」という水彩絵の具に似た絵の具を使用することも多いのですが、今回は本格的に「岩絵具」をしっかり使用していただきました。

「岩絵具」とはどんな絵の具か…いろんな特徴があるとは思いますが、使ってみて、他の絵具と比べて感じるのはまず「粒子」の大きさ、ではないでしょうか。

すべての絵具は「粒子」でできています。油絵具やアクリル絵の具からは、絵具が「粒」であることは想像しにくいのですが、日本画で使用する「岩絵具」は他の絵具に比べ明らかに粒子が大きく、ダイレクトに「粒」を感じます。ですので、「塗る」感覚で絵具を置こうとするとかなり戸惑います。

この岩絵具の粒の粗さが、描いていて他の絵具と全く異なる印象を与えますし、それは実際に仕上がった作品を見ても感じられます。

今回の講座を通じて、みなさん、岩絵具の感触をきっと楽しんでいただけたのではないでしょうか^^


ではでは、皆さんの作品を見ていきましょう。

今回は、サムホールサイズという小さめな画面に、「ご自身が描きたいもの」という自由なテーマで描いていただきました。

花とモンシロチョウを構成して描かれた作品です。背景にも花と蝶と同じ色を使用して色調をバランスよくまとめています。写真では伝わりにくいですが、しっかりと絵具が置けていて岩絵具の質感を上手く活かせています。

モチーフは葉付きのカボスひとつですが、それを「丹念に描いた木目の上」にシンプルに置いた構図が効いています。背景のみならず、葉っぱ1枚1枚手を抜かず、丁寧な描写が目を惹きます。


油彩の経験が長いHさん。今回は岩絵具に触ってみたいということで参加されましたが、画材は違ってもいつもながらスピーディーで明解な仕事ぶり!水中部分の絵具の重ね具合が見事です。


モチーフにはご本人の名前が隠されているという、洒落の効いた作品です 背景と鶴の羽の色を微妙に異なる白で表現しているところが上手いです。落款もしゃれています^^


3日で描き上げるには複雑と思われる絵柄を見事に描き上げています。色調を抑えた街並みの描写ににオート三輪の赤の色面が効いています。

シンプルですが、力強い作品です。単調に見えないのはしべの部分や花弁の重なりを丁寧に描いているからでしょう。人の眼差しを感じる好感の持てる作品です。茎の緑を鮮やかな緑にしなかったことも画面全体の色調を柔らかくしています。


コスモスの花を描こうと思いきや、厄介だったのはコスモスの葉の方だったかもしれません。大量にあるコスモスの葉も描き切り見応えのある画面に仕上がりました。空の青さに、秋を感じます。


今年もたくさんの方がえ塾を利用して下さいました。不自由な世の中、絵を描くことや絵を通したコミュニケーションを楽しんでいただいたり、そんな風に少しは皆さんのお役に立てていれば嬉しいと感じた年でした。

来年もまたえ塾をよろしくお願いいたします!(秋)

2020年10月22日木曜日

第13回 え塾展 オンライン開催のお知らせ

毎年10月に行っております教室展の「え塾展」今年はオンラインでの開催となりました。

第13回目となる今年は、残念ながらオンラインとなりましが、コロナウイルス による自粛や猛暑にも負けず、描くことを続けてくださった皆様に、感謝の意味も込めての開催です。雰囲気だけでも楽しんでいただければ幸いです。


↑ オンライン展覧会のTOPページ 
イメージに抽象画コースのF.M.さんの作品をお借りしました。うさぎがかわいらしい^^


今年は63名の方が出品してくださいました^^ ほぼ2点ずつ出品されてますので、合計130点ほど。ウェブの画面ですので、大きい作品も小さい作品も同じ大きさに見えてしまいますので、若干本当の作品と伝わり方が異なりますが、それでも十分迫力も、見応えもある展示となっております。

展覧会の構成は「水彩画」「日本画」「抽象画」「絵画Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」と、制作のジャンルに分けてページを構成しています。絵画は、油彩やパステル、デッサンなど様々なジャンルの作品で、点数が多いのでクラスごとで3つに分けたページ構成になっています。

ちょっとだけ作品をご紹介。

絵画コース作品より

絵画コース作品より

日本画コース作品より

絵画コース作品より


コロナ渦の中、少しでも生活に潤いを感じていただければうれしいです^^


え塾オンライン展覧会 会場はこちら

2020年9月29日火曜日

11月開催  ふたつの短期講座

きっぱりと秋が来た、とでも言いますか、猛暑から一気に過ごしやすい気候となりましたね。まだまだ日中の気温に夏らしさが残る日もあるようですが、1年で最も過ごしやすいのではないかというこの時期、大切に楽しみたいと思います。

さて、今回は新型コロナの影響もありまして、なかなか行うことのできなかったふたつの短期講座のご紹介をさせていただきたいと思います。


ひとつめは毎年恒例の

「日本画超初級講座」→定員につき締め切りとなりました。


制作例:講師作品

「超」というところが味噌です^^

日本画というものは「岩絵具」という特殊な絵具を使います。日本画の絵具は油絵具や水彩絵の具と異なりまして、絵具を作るところから行います。顔料と呼ばれる色の粉を膠(にかわ)という糊で溶き、それを画面に載せていきます。そう書くと本格的で難しく感じるかもしれませんが、今回のこの講座では日本画はおろかデッサンも初めてという方でも楽しんで描いていただけるような講座となっております。画面は小さめで、モチーフもご本人の好きなものを選んでいただけます^^

例えば教室生の方の作品では…


日本画在籍 Sさん作品


たいやき!


素敵です^^


カリッと焼けた尾っぽやふっくらとした唇が可愛らしいです。餡がうっすら透けているところも上手に捉えられています。背景は何か織物のようなものでしょうか。深い緑とえんじ色がたいやきの明るい色をを引き立てています。

好きなものを描く、と言われてたいやきが出てくる感性がまた素敵ですね。

この様にご自身の感性で楽しんでいただけたらと思います。描きたいものがある方は、お写真などお持ちください。

また、何を描いたら良いか分からない、という方は、お気軽にご相談ください。こちらでモチーフを用意させていただきます。もちろん、技術的なことは初歩からしっかりとサポートいたしますし、画材は全てこちらでご用意致します。手ぶらでご参加いただけますので、日本画に興味のある方は是非この機会をご利用ください!


講座概要 「日本画超初級講座」

■ 日程:10/6・13・20日(全て火曜)<全3回> 9:45a.m.~12:45p.m.

  or  11/10・17・24日(全て火曜)<全3回>   9:45a.m.~12:45p.m.

■ 定員10名

■ 受講料(会員・非会員)11,000円(税込み) ※入会金無し

■ 教材費:1,000円(税込み)


ふたつ目の講座は

「水彩でゆりを描く」


制作例:講師作品

花を描きたいという方は案外多いのですが、実際に描いてみると、思っていたより花の構造が複雑だったり、葉っぱが多すぎて面倒だったりと、なかなか思ったように描けないという経験はありませんか?

今回のこの講座では、スケッチ(デッサン)と彩色とふたつのプロセスで、お花描くポイントを指導いたします!初歩からご説明させていただきますので、初心者の方や、花を描いたことはあるけれど上手くいかなかった!という方もぜひお試しください^^

こちらの講座も画材や花材は全てこちらでご用意致しますので、準備していただくものはありません。ただし、参考資料として、授業内でお花を撮影していただくための、カメラやスマートフォンなどご用意できる方はご持参ください。


講座概要「水彩でゆりを描く」

■ 日程:11/5・12・19日(全て木曜)<全3回> 1:00p.m.~4:00p.m.(3時間) 
■ 定員10名
■ 受講料:11,000円(税込み)
■ 教材費:2,000円(税込み)


詳細はこちら(え塾ウェブサイト)
講座へのお問い合わせはお気軽にお電話ください。






2020年9月8日火曜日

9月え塾の授業始まりました。


自粛期間を経て、7月授業が再開したのち、恒例の夏休みに入ってしまい授業をお休みしてきましたが、9月1日よりえ塾の授業を再開しております。

久々の授業となりましたが、先週の金曜日、夏のお休みの間にも作品をご自宅で描いていたという方がいらっしゃいましたので(すばらい!^^)、写真を取らせていただきましたの。この場でちょっとご紹介させていただきます。

まず、最近ペン画を継続していらっしゃる金曜コース在籍のI.K.さん(男性)の作品から。


I.K.さん作品 ペン・画用紙


同じくI .K.さん作品 ペン・画用紙

これまで鉛筆やペンを使って、様々なテーマで細密表現をされてきたI.K.さん。今回のこの2作品では主にペンによる点描で描かれています。点描といえば、例えば油彩などではスーラの絵などが思い起こされますが、ペンの点は本当に小さなタッチで、その小さなタッチでここまで密度を上げるのはなかなか大変なことです。


拡大した様子

一方で、じっくり調子を積み上げることができるので、非常にデリケートに調子の差を作れます。いずれも、丹念に積み上げられたモノクロームの絵肌がとても魅力的となりました。


次は同じく金曜コースのやはりI.A.(女性)さん。
これも写真が小さいとペン画に見えてしまうかもしれませんが…


ちょっと作品を拡大しますと…


このように、線の表情がとても豊かなのがわかります。
実はこの線は、ポップアートのスーパースター、アンディ・ウォーホルがイラストレーションで使っていた「ブロテッドライン」という転写の技法を応用して描いています。銅版画でいう「まくれ(所々線がにじみギザギザした様子に見える)」みたいな表情が作れるところがこの「ブロテッドライン」の面白いところ。

この「ブロテッドライン」、昨年の夏にえ塾の短期講座でもご紹介したのですが、I.A.さんはしばらくこの技法を継続されていて、ご自身でもあれやこれやと試行錯誤され、かなり技法がこなれてきています。まだ試作の段階のようですが、今後どんな作品に仕上がっていくのか楽しみです!


最後の作品は…冒頭でもご紹介しています、同じく金曜クラスのHさん(男性)の作品より。


Hさん作品 
水彩・蝋・水彩紙

水平と垂直線で構成された格子状の形態が、ブルーを基調とした様々な色に塗られています。一見抽象画のような、あるいはタイルを思い浮かべる人もいるかもしれません。よく見ると、その中に雲が浮かんでいます。

この作品、何を描いているかといいますと…実は高層ビルのガラスファサードに映り込んだ風景なのです。Hさんがご自身で撮影された写真も見せていただきました。水平と垂直の線は窓の棧で、窓ガラスには歪みがあったり、室内のカーテンのある無し(このビルはホテルだそうです)で反射が異なり、それによりファサードに色とりどりの色調が映り込んでいました。この風景を見た時、パッと絵のイメージが浮かんだのでしょうか。実際の写真よりもさらに色調の変化が楽しめる作品となりました。

Hさん、窓の桟の表現が気になるようで、もう1枚制作中。どんな仕上がりになるのか、こちらも今後が楽しみです。



まだまだ新型コロナも心配ですが、そろそろ何か生活にもちょっとした潤いが欲しくなってきている頃では無いでしょうか。え塾では換気や消毒など、感染予防対策に気を配りつつ授業を行なっております。いつかは始めててみたいと考えていた絵を、この機に始めてみませんか?初心者の方にはデッサンの手ほどきから絵具の使い方など基本から指導しております。

授業を実施している時であればいつでも見学できます。
ご希望の方はお電話にてお気軽にお問い合わせください。

え塾公式HPはこちらより。
☎︎ 045-316-0677



2020年6月10日水曜日

え塾 特別オンライン授業「印象派と19世紀絵画」

月曜日の授業で行ってきた「美術講義」をオンライン授業として開講します!



テーマは「印象派と19世紀美術」。日本人にとってとても馴染深い印象派。モネやルノアールがお気に入りの画家だという方も多いのではないでしょうか。実は印象派の出現は西洋絵画の歴史のなかでもとても重要なターニングポイントのひとつでもあります。宗教・物語・形の再現から自由になり、色彩と形と空間を解放し、多様な絵画表現の可能性の種を蒔いたこの時代の絵画。これらを理解することで西洋絵画の見方がきっと変わることでしょう。

講義は全3回。オンライン上でスライドを使った90分の講義を行ったのち、参加者の方よりおのおの自由に質問をいただき、それに講師がお答えするという形式の授業です。堅苦しいものではなく、車座になって、話を聞き、自由に語らう、そんな授業をイメージしています。夜の時間帯に行うので、飲みながら、つまみながらもOK。フランクな雰囲気の中で、絵画を味わい、当時の絵描きに思いを馳せてみませんか?

ー 概要 ー

第1回 6月24日(水) 7:00p.m.〜10:00p.m.(約3時間)
テーマ:「印象派前夜ー印象派以前の絵画を理解する」
印象派をより理解するために、印象派が生まれる以前の絵画の「伝統」と、その伝統に立ち向かった巨匠「マネ」、及び、いくつかの主要ムーブメントについて学びます。この時代を理解する事無しに印象派の革新性を理解することはできません!
 
第2回 7月8日(水) 7:00p.m.〜10:00p.m.(約3時間)
テーマ:「印象派の絵画を正しく理解する」
印象派の絵画には、色彩が明るくテーマも身近で解説無しでも十分楽しめるものが数多くあります。しかし、印象派の画家たちが行ったことは、意外にも「実験的」で「革新的」なものでした。「モネ」の作品を中心に、印象派の画家は何を見、描いたのかについて紹介します。

第3回 7月22日(水) 7:00p.m.〜10:00p.m.(約3時間)
テーマ:「印象派の後継〜現代へ」
印象派の影響を受けつつも、次第に反発し、乗り越えようとした画家たちは、やがて各々に独自のスタイルを追求していきます。セザンヌ・ゴッホ・ゴーギャンなど、この時代のスーパースターが実践した絵画スタイルは、やがてピカソや20世紀の前衛へとつながっていきます。巨匠ピカソにも影響を与えたこの時代の絵画とは?

いずれも90分のスライドレクチャーののち、90分程度の質疑応答の時間を設けまます。(長時間となりますので、途中退場OKです)

【講師】
 メイン講師:北川聡(横浜美術学院学院長)
 アシスタント:秋山雅子(え塾講師)

【参加方法】
⒈ 横浜美術学院までメール・お電話(045-316-0677)にて「え塾特別オンライン授業」参加とお伝えください。

⒉ 受講料11,600円(税込)をお支払いください。

  ●お支払い方法<会員の方>
  6月18日までにお申し込みいただいた会員の方は7月の引き落とし時に、
  口座より引き落としをさせていただきます。
  
  ●お支払い方法<非会員の方>
  非会員の方は振り込みとなります。メールまたはお電話でお申込いただいたのち
  振り込み先などをお知らせいたします。

※納入された受講料は原則としてお返しできません。ただし、次の場合に限りお返し致します。
・転居や病気などやむを得ない事情があり、開講前日までにご連絡を頂いた場合。所定の手数料を引いた額を返金させて頂きます。

⒊ こちらで振り込みを確認できた方に授業への参加方法をメールにてお知らせいたします。
 

【申込締め切り】6月18日(木)

授業ではオンライン会議システム「zoom」を使用します。スライドを使用しますので、タブレット端末以上の大きさの端末でのご参加をお勧めします。「zoom」の利用が初めてでわからないという方にはメールでのサポートを無料でいたします。「zoom」の導入は初めての方でも難しくありません。普段パソコンでインターネットをされる程度の知識があれば十分です。

え塾会員の方向けの講座ですが、会員のお友達で興味のある方などいらっしゃいましたら、ご紹介ください。なお、1回のみ受講というのはお受けしていません。全3回セットでお願い致します。

講座へのご質問は、メール・お電話(045-316-0677)にてお気軽にお問い合わせください。