一月の授業が始まりました。今日は3人の方の最近の作品をご紹介しましょう。
hamabiの絵画教室で重視している事は、「基礎をしっかりと学ぶ事」ですが、もうひとつ大事なのは、その先にあることで、全員がひとつの表現スタイルになってしまうのではなく、「それぞれに興味を持っている事を追求していく事」だと思います。今日ご紹介する3人もhamabiの絵画教室を利用して、それぞれに興味のある絵を描かれています。
まずは絵画コース木曜午後クラスのKさんの作品です。
Kさんはいつも「好きなものを描く」という非常に単純明快なモチーフ選びをします。もちろん絵はそれだけではなく、モチーフなんて何でも良い、という姿勢もありなのですが、Kさんの場合は好きであるという事が絵を描いていく時の対象への迫り方や、絵肌へのこだわり、触覚的な掴まえ方などに大きく影響しているのではないでしょうか。今回Kさんがモチーフとして選んだのはお家で飼われているワンちゃんです。写真を資料として使いながら、実は写真を離れてご自分で工夫してつくっていっている部分も多いようです。毛の表情や質感へのこだわりは良いのですが、体の部分の構造の弱さが若干気になります。ご本人も、体の厚みが描けない事はずっと気になっていたようでした。
次は絵画コース木曜午前コースのIさんの作品です。
Iさんは古典の絵画に興味があり、テンペラ(古典技法の一種)で静物を描かれていましたが、それと平行してルネッサンス期のネーデルランドの画家ヒエロニムス・ボッシュの祭壇画である「快楽の園─地獄」の部分の模写をされていました。描き進めるにつれ、Iさんは新たな発見があり、ボッシュのすごさに感心していました。ご自分の模写の駄目な部分も見えてきていたようです。これはまだ未完成なのだけれども、いったん筆を置き、また時間をおいて手をつけたいという事でした。
3人目は抽象画コース月曜午後クラスのKさんの作品です。
Kさんは絵の勉強をはじめて、まだ1年経っていません。Kさんは、これまでの素材の実験や演習の中から少しずつご自分に合った素材や表現方法に近づき歩き始めている途中といった段階ですが、3月の教室展に向けて、人に見せるという視点が出てきて作品が動いてきました。紙にアクリル絵具を流動的に置き、偶然出来た形態と、それにペンで細密に描いていく事を共存させている画面です。色や線の振動を感じながら画面にじわじわと張りを与えていくことができています。
さて、2010年は生徒さんのどんな作品が見られるのか、とても楽しみにしています。