2014年3月12日水曜日

短期講座「絵の具で学ぶ写実の基本」 授業報告

短期講座「絵の具で学ぶ写実の基本」2月で終了しました!


約2ヶ月に渡って行われた「絵の具で学ぶ写実の基本」講座、今回は13名の方が参加されました。今回の授業では写実的な表現の基本を学ぶという事で、やや古典的なアプローチでの技法を学んで頂きました。

古典的な…といってもさまざまな絵がありますが、今回の授業で下敷きにしたのは、ファン・アイクやレオナルド・ダ・ヴィンチといった、油彩画が誕生しそして成熟していった頃の絵の作りです。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ作
「荒野の聖ヒエロニムス」
1480年頃

上記の作品はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品で、未完の油彩です。このような未完の作品がレオナルドに限らずいくつか残されているのですが、このような作品を見る事で、私たちは当時の絵がどのような行程で描かれているのかという事を理解する事が出来るのです。
上記の作品は白色の画面に、褐色の濃淡で描かれています。絵の具で描く場合であっても、デッサンの様に、まずは単色で明暗を表現しながら空間を掴みます。そして、ある程度形や空間が掴めたところで色を付けていくという手法です。いきなり固有色で描かない、といったところがポイントです。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ作
「岩窟の聖母」
1483-1486年

上記の作品のような、衣の青や赤といった固有色は褐色のデッサンの上にのってくるのです。周りの風景を見ると、やはり褐色の濃淡でデッサン的に描かれているのが伺えます。

このような考え方をベースに、今回チャレンジして頂いたのが、中盤まで単色の絵の具でデッサン的に捉えて頂くという事です。

 今回のモチーフ
皆さんには、写真をお渡ししています。

これを単色でデッサン的に絵の具で描いたものが下記のものです。
イメージとしてはこんな感じ。
この状態まで単色で捉えた後、
固有色を使いながら個々の質感表現を高めていきます。

授業では、毎回、解説とテキストとデモンストレーションを交えてイメージを掴みながら臨んで頂きました。難しい部分もありましたが、皆さんとてもいい出来に仕上がりました!生徒さんの作品を少しご紹介させて頂きます〜。

 ↑参加者の一人、Yさん作品。
絵を描くのは学生時代以来…。
本格的な油彩は初めて!でこの完成度は驚きです!! 


 お二人で参加された、Kご夫妻作品。
お二人とも色使いがとても上手でした。
描写も的確です!
(写真があまり上手く取れていません…残念)


今回の授業では、油絵具の使い方・溶き油の違い ・明暗で空間を捉える・混色などさまざまなエッセンスが詰まっていました。ぜひ、今回学んだ事を、今後の制作のヒントにお役立て下さい!

え塾では、4月よりまたさまざまな短期講座を開催します。特に4月は初心者の方を対象とした授業を多く企画しています。ぜひこの機会をご利用下さい!(秋)